格闘家 / 指導者 インタビュー
テコンドー【厚木テコンドー道場】代表 田川 勝久(たがわ かつひさ)さん
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今回のゲスト【厚木テコンドー道場】代表 田川 勝久(たがわ かつひさ)さん
神奈川県厚木市、小田急線「本厚木駅」北口から徒歩10分ほど。
今回ご紹介させていただくのは「厚木テコンドー道場」。
主に市民の憩いの場である東町スポーツセンター内の第二武道場で活動しています。
代表を務める田川さんも1977年の神奈川県生まれ。
テコンドーの技術・世界観に惹かれて研鑽に励み、地方大会多数で優勝、ノースアメリカンチャンピョンシップでベスト4、全日本選手権ベスト8など多くの実績を積み、1998年から指導をはじめ、現在に至るまで、テコンドーは田川さんの「人生そのもの」となっています。
今回は「テコンドーを楽しもう」をテーマに道場運営をされている田川さんにインタビューさせてもらいました。
――格闘技(テコンドー)を始めたきっかけは?
テコンドーとの出会いは大学時代でした。
もともと殴れる場所にいきたくてボクシングをやろうと思っていたのですが、自分が通うキャンパスにボクシング部がなかったんです。
その時に先輩から「テコンドーは興味あるか?」って誘われて、自分は「顔面パンチある?」って聞いてたら「あるよ」って言われたので、「それじゃボクシングとそんな変わらないか」と思って入部したのがキッカケでした。
そしたら「え、蹴りもあるじゃん」って笑
自分はめっちゃくちゃ体が硬かったので、蹴りはできないだろうと思っていたのですが、
まぁ殴ってれば良いかなんて当時は思っていました。
――練習初日はどんな気持ちでしたか?緊張や恐怖はありませんでしたか?
最初は自分が強くなれるような殴る場所が欲しかったんですね。
だから、怖さより、自分がテッペン取ればいいじゃないかと。
最近その頃の兄弟子に会ったら「全然雰囲気が変わったよね」って言われました。
といっても当時自分は荒れていたわけではなく、もともと可愛い感じの、ゆるキャラみたいなものでした。
――テコンドーを初めて良かった魅力や、人生の役に立ったメリットはありますか?
テコンドーが「人生そのもの」になりました。
テコンドーを始める前日まで、テコンドーっていうのは
”ろくでなしBLUES”の辰吉が使ったネリチャギ(踵落とし蹴り)しか知りませんでした。
自分がテコンドーを始めるなんて全然考えてなかったのに、28年間テコンドーをやり続けて、今の仲間達とも出会うことができました。
それに自分はテコンドーをやりすぎて留年もしたんですよ。
4年制だったので1年留年して5年大学にいたんです。
そうすると、本来は会うはずもなかった1年生と出会うんです。
この時に1年生にいた女性と結婚したんですよ。
だからテコンドーのお陰で結婚も出来たし、留年して良かったと思っています。(笑)
――テコンドーで上手くいかないときの考え方や対処法を教えてください
自分の中で10年経ったら10年なり、20年経ったら20年なりの
「これぐらい出来るだろう」って段階があるんですよ。
そして、そこに全然到達してないんですね。
自分の中で満足した日は無くて、だからこそ今も自主練をやり続けられるんです。
その中で”それでも自分は0じゃない”って思い続けることでしょうかね。
0じゃないから、そこからもう一度、積み上げれば良いって。
よく道場生に”賽の河原の石積み”の話をします。
三途の川で子供たちが石を積み上げると、鬼が崩しに来る。
それでも、石を積み上げ続けなければいけない、そんな地獄があって。
テコンドーも似ていると思うんです。
ちょっと休めば、ちょっとサボれば、ちょっと出来なければ、積み上げたものを鬼が崩していくんです。
実力なんてすぐ崩れちゃうものなんです。
その崩した石っていうのは、初めは拾い集めに行かなきゃいけなかったんですけど、一度集めたものに関しては、いくら崩れてしまっても、もうその辺に転がっているんです。
だから、一度積み上げさえすれば、うまくいかない時も、手に届くところにあるものを、もう一度積み上げていけば良いじゃんって思えるんじゃないかと、思っています。
――テコンドーに向いている人や向いていない人はどんな特徴がありますか?
センスじゃないんですよね。
結局、不器用でも「長く続けられる人」が1番強くなるんですよ。
で、下手に器用だとすぐに色んなことが出来る様になっちゃうから、ちょっと挫折すると辞めちゃったりするんですよね。
自分は不器用だったんで出来ないことが当然だと、ちょっと挫折しても打たれ強いんですよ。
努力し続けられる人が向いていると思います。
――テコンドーをして辞めたいと思ったことや、デメリットはありましたか?
デメリットといえば…
テコンドーが「人生」だったので、他のことをする余地がありませんでした。
自分は就職せず、学生のとき、しかも留年した年に道場を始めたんです。
大学を卒業する時は普通、就職の話が出るじゃないですか。
その時、就職したらテコンドーの時間が圧迫されるだろうなと思ったので就職するのを辞めたんです。
基本的には道場の収入でやってる訳なので、もう貧乏で貧乏でアホのように貧乏で(笑)
別の仕事を探して、テコンドーと両立してやっていけることを半生探しています。
そっちで金持ちになって、道場で金稼がなくてもやっていけることを目指してます。
――テコンドーをやめたいと思った事はありましたか?
テコンドーには、ITF(※1)と、WTF(※2)の2つの系統があるんですけど、
そのITFの中だけで2つの派閥があって、その派閥の1つ、自分のいた派閥が本部から抜ける流れになって、自分は抜けることに反対で、師範とも袂を分かつ形で、厚木道場だけが抜けたんです。
厚木道場が抜けたときに、これは師範から教えていただいたテコンドーだから自分はもう続けるべきじゃないと思ったんです。
で、辞めるっていうことを道場の皆んなに言ったんです。
そのときに、皆にはテコンドーを続けて欲しいから元の派閥の人に声をかけてここに来てもらうようにするって言ったんですけど
「田川に学びたいんだ」
って言ってくれた人がいて。皆に、どっちが良いかアンケートを取ったら全員が田川から学びたいと言ってくれて、「じゃあやるしかないか」と、そこからもう20年以上経ってます。
※1・・・International Taekwondo Federation [武道を念頭に置いた格闘技として発達し、防具は手足のみ装着]
※2・・・World Taekwondo Federation [スポーツとして発達し、防具は手足、頭部、胴部に装着]
――これからテコンドーを始める人へ一言メッセージをいただけますでしょうか。
テコンドーは下手でも、体が硬くても、できます。
大切なのは”どれだけやりたいか”です。
今テコンドーは派閥がどんどん細分化して、大会も小さくなっている傾向があります。
でも、どこの道場に居ても派閥の垣根を超えて一緒に盛り上がる試合をしていけたらと思っています。
一言で言えば「一緒にやろうよ」です。
――お休みの日は何をされてお過ごしでしょうか。
休みの日は走って、シャドーをやって、バーベルを持って、パンチのシャドーやって…を2~3回は繰り返していますし、週1回は山へ走りに行きます。
あと、道場生に対してメールを出してます。自分は口下手なので、文章だと間違えても直しながら言いたいこと言えるので、文章の方がうまく伝わってくれるような気がしているんです。
――お好きな音楽やアーティストを教えてください。
「GLAY」です。
――好きな本や漫画があれば教えてください。
「はじめの一歩」です。
あと、あんまり似合わないかもしれないんですけど、「ちはやふる」も好きです。
昔でいったら「ろくでなしBLUES」「特攻の拓」「湘南爆走族」も大好きです。
自分の中でのバイブルなんですよ。
――憧れのアスリートや尊敬している人はいらっしゃいますか。
テコンドー本部道場の指導者 黄秀一(ファン スイル)師範です。
分裂後はお会いできていないんですけど、この人が「きっと今も頑張ってるんだろうな」と思えるから、自分もレベルアップしなきゃって思えるんです。
――座右の銘やモットーがあれば教えてください。
どんなことにも一生懸命。
――今後の目標があれば教えていただけますでしょうか。
厚木道場を世界一の道場にすること。
それと、最高に面白い大会を開きたいですよね。
一般的な格闘技イベントは試合があって合間があって、試合があって合間があって…と単調になりがちなので、この形を崩した、ライブみたいに別れているけど1つのイベントとして皆が盛り上がっていけるようなイベントが開けないかな..と常々考えています。
おわりに
田川さんが指導を行っている厚木テコンドー道場は神奈川県厚木市にある、「東町スポーツセンター」という市営ビルの4階、第二武道場をお借りして活動を行っています。
武道場は5~60人は収容できる規模でかなり広く、ロッカー、シャワー等、設備は充実してます。
お近くの方は是非テコンドーにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
厚木テコンドー道場:
〒243-0001 神奈川県厚木市東町2―1
・小田急線「本厚木駅」北口から徒歩12分
・厚木バスセンターから徒歩7分