格闘家 / 指導者 インタビュー
ボクシング、キックボクシング【Ulu】代表 佐々木 洵樹(ささき じゅんき)さん

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今回のゲスト パーソナルボクシング、キックボクシングジム【Ulu】代表 佐々木 洵樹(ささき じゅんき)さん
佐々木さんは1991年6月生まれ、北海道旭川市のご出身です。
2009年2月に17歳でプロボクサーとしてデビュー。
東洋太平洋フェザー級13位、日本フェザー級7位の実績を残したのち、2019年からは活動の場をキックボクシングに移されました。
キックボクサー時代には、そのキレのあるパンチから「ソリッドパンチャー」の異名を取り、デビューからわずか3戦で第5代Krushバンタム級チャンピオンの座に就いています。
K-1 WORLD GP 第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメントでも3位の実績を残し、2022年12月にキックボクサーを引退。
戦績はボクシングが23戦19勝(7KO)4敗、キックボクシングは8戦7勝(1KO)1敗と、2つの格闘技を股にかけて活躍されました。
引退後はいくつかのジムや出張トレーニングなどでトレーナーとして活動したのち、2024年11月にパーソナルボクシング、キックボクシングジム「Ulu」(ウル)をオープンされています。
今回はそんな佐々木さんに、現役時代の裏話や指導に於いて心がけていること、格闘技の魅力などをお聞きしました。
-格闘技を始めたきっかけを教えてください。
K-1のアンディ・フグ選手の映像を観たことがきっかけです。
小学校に入る前ぐらいの頃だったと思います。
格闘技好きの父親が家でK-1の映像を観ていたところをたまたま目にし、その瞬間から自分もテレビにかじりついて観てしまっていました。
あのときの映像は今でも頭に強烈に残っています。
煽りから入場シーン、もちろん戦っている姿まで、そこに映るアンディ・フグ選手がもうかっこよくて、「これをやろう!」と一瞬で心が決まりました(笑)
そして小学校2年生のときに空手を始めました。
自分もアンディ・フグ選手のように空手着を着て、同じことをやれているのが楽しくて仕方ありませんでしたね。
最初は勝てませんでしたが、複数の道場を掛け持ちして週5~6日で練習するようになってからは、全国大会で優勝もできました。
-プロの世界ではボクシング、キックボクシングと2つの格闘技に取り組まれていますね。
K-1ファイターを目指して中学生のときにキックボクシングを始めようとしました。
ですが地元の旭川にはキックボクシングジムがなく、唯一あったボクシングジムでまずはボクシングを始めました。
中学校卒業後に上京して遂にキックボクシングジムに入門したものの、しばらくしてK-1の運営が不安定になってしまいました。
このままK-1ファイターを目指すことに不安を感じ、ボクシングで磨いたパンチの技術に自信もあったため、プロボクサーを目指すことにしました。
その後はプロボクサーとして活動していましたが、団体の消滅していたK-1が復活したので、当初の夢であったK-1に再度挑戦するべくキックボクシングへ転向しました。

-格闘家人生で嬉しかった瞬間はいつでしたか。
キックボクシングのKrushのチャンピオンになったときです。
デビュー3戦目でのベルト奪取はKrush史上最短だと話題になりました。
だけどボクシング時代から数えたら10年、25戦以上戦ってきてようやく掴み取った初めてのチャンピオンベルトなんです。
しかも幼い頃からずっと追い求めてきたキックボクシングのベルトです。
嬉しくてたまらなくて、リング上では自然と涙が溢れてきました。
その日は家に帰った後も寝ずにチャンピオンベルトを眺めていたくらいです。

-K-1 WORLD GP 第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメントにも参戦し、3位に輝いています。
実はあのトーナメントの日は39度近い熱を出してしまい、格闘家人生で最悪の体調で試合に臨んでいました。
頭が重くて痛いし、ボーっとしてしまう。頭の中に何かがいるような感覚でした。
視界も薄暗くて耳の聞こえもとても悪くなっていました。
体はとてもだるく、自分はフットワークを駆使して戦うタイプなのに、足も動かなくてステップも重かった。
明らかな異変を感じていましたが、それを口にしてしまったら体調不良を自分で認めることになってしまうと思い、セコンドや家族を含め誰にも言わずにリングに上がりました。
1回戦はギリギリの判定でなんとか勝てましたが、試合中の記憶はありません。
次の準決勝の記憶は辛うじてあるものの、格闘家人生初のKO負けの苦い記憶です。
勝負に「たられば」はありませんし、体調不良は自分の責任ですが、万全の状態で戦えていたらという思いは今もすごくあります。

-「まだできる」という声も多い中、そのトーナメントを最後に引退されたのはどうしてでしょうか。
準決勝の後、意識が朦朧とする中で救急搬送されると、前日のPCR検査では陰性だったのに、新型コロナウイルス感染症に罹っていたことがわかりました。
さらに病院で激しい頭痛も起きて意識を失ってしまったため精密検査をしたところ、コロナの重症化により脳内の4カ所ほどに血栓ができていることも判明し、そのまま1カ月入院になりました。
その後は治療していただいたお陰で血栓は消えました。
だけど一度できてしまうと出やすくなるそうで、お医者さんからは予防のために、今後は体に水分が常に満たされた状態にしておくように強く言われました。
それはつまり減量が厳禁ということでもあります。
それだともう格闘技は無理だなと思い、負けた相手に試合でやり返したい気持ちはありましたが、引退を決断しました。
-Uluはどのようなジムでしょうか。

基本的には1対1で、ボクシングやキックボクシングのトレーニングを行っています。
実はうちのジムは現役でボクシング、キックボクシング、総合格闘技などの格闘技選手をされている会員さんの方が多いんです。
選手が6割、一般のフィットネス目的の方が4割ぐらいですね。
そのためか男女比は男性が8割ほどを占めています。
年齢は選手志望の中学生から、フィットネス利用の70代の女性会員さんまで幅広いです。
元々はフィットネスメインのジムを想定していたのですが、自然と選手が多くなっていきました。
-フィットネスメインのつもりが選手中心になっていったのは興味深いです。

選手には技術を細かく丁寧に教えることを意識しています。
ジムにもよりますが、実は格闘技、特にキックボクシングの世界では、技術を一から教えるのではなく、最初からバチバチの実戦練習をさせて、攻撃をもらいながら自力と根性で対処方法を身に付けさせるという風潮があります。
自分はキックボクシングを始めたばかりの頃、そのやり方に疑問を感じ、とても悩んでいました。
それにこれでは余計な怪我をしてしまうし、辞めてしまう原因にもなると思うんです。
だからうちのジムではバチバチに実戦練習をさせるのではなく、攻撃や防御の技術を一から噛み砕いて教えることを心がけています。
実際、そうやって一つ一つ着実に技術を身に付けていった方が、結果的に実戦でも強くなっています。
それに加えて、ボクシングとキックボクシングの両方で活動してきたからこその、教えられる技術の幅の広さも自分のすごい強みだと思っています。
そうすると色んな選手が噂を聞きつけてジムに来てくれるようになりました。
自分が疑問に思ったり悩んだりしていたこと、経験してきたことを反映した指導方法を支持してもらえることは大きな喜びです。
指導者としての自信を持たせてくれた選手のみんなには本当に感謝しています。
-フィットネス会員さんにはどのように指導されているのでしょうか。

フィットネスの動きの中で、攻防の技術を同じように一から丁寧に教えています。
一通りの技術を伝えた後は、ヘッドギアなどの防具をお互い身に着けたうえで実際に攻撃してきてもらい、自分はフットワークを使って全力で動きまくるなんていうこともやります(笑)
会員さんはとても喜んでくれます。
そうやって接していると、最初はフィットネス目的で入会された会員さんの中には、試合への意欲が湧いてきて実際に出場される方もいらっしゃいます。
男性会員さんだけでなく女性会員さんでもそういう方がいらっしゃるんですよ。
-格闘技を続けてきて良かったことを教えてください。
苦しいことを沢山経験できたこと、そして苦しむことの大切さを学べたことです。
トレーニングや試合はとてもきつくて苦しいです。
上手くいかなくて落ち込むこともあります。
でもそういう経験を経た後の方が肉体的にも精神的にも成長できていました。
別に自ら苦しみに行きなさいというわけではないですよ。
だけど古い考えですが、成長したいのであれば苦しんだ方がいいとは思っています。
ちなみにジムの名前になっている「Ulu」(ウル)は、ハワイ語で「成長する」という意味の言葉なんです。

-佐々木さんの思う格闘技の魅力はどんなところですか。
苦しさを味わった後の喜びですかね(笑)
格闘技は間違いなくきついです。
だけど自分の現役時代を振り返っても、苦しさを乗り越えて勝利した後は世界がまるで違っていました。
ご飯は美味しいし人と会ってももう何をするにも、息を吸っているだけでも楽しかった(笑)
ただ単に楽しいことばかりをやっていたらこんな感覚は得られないと思います。
選手として本格的に取り組むのでもフィットネス目的でも、きついトレーニングや試合を乗り越えた後の爽快感はきっと最高なはず。
そこが格闘技の一番の魅力だと思います。
是非きつい時間とセットで(笑)、経験してもらいたいです。

-憧れのアスリートや尊敬している人はいらっしゃいますか。
やっぱりアンディ・フグ選手です。
自分の格闘技の原点の選手だからという理由だけではありません。
自分自身を追い込める人が好きなので、常に限界に挑戦し続けて自己を高め、K-1チャンピオンに輝いたアンディ・フグ選手は今でも憧れの存在です。
-格闘技を始めたい人へメッセージをお願いします。
格闘技は苦しさの先にある生きる喜びが味わえます。
興味があるようでしたら是非始めてみて、その喜びを味わってほしいです。
選手を考えている方も、自分自身に問いかけてみて、迷っているならまずは踏み出してみてください。
仮にそれでダメだったとしても、格闘技に挑戦した経験は人生の大きな財産になるはずです。
佐々木さん、この度はお忙しい中ご協力いただき本当にありがとうございました!

-おわりに
格闘技への熱い思い、選手や会員さんのことを真剣に考えて寄り添う姿勢、そして誠実な人柄が伝わってくる佐々木さん。
インタビュー後には、指導している高校生アマチュアキックボクシング選手が出場する大会のセコンドにつくため、颯爽と会場へ向かって行かれました。
その選手は準優勝されたそうです!

佐々木さんが代表を務める「Ulu」(ウル)は、JR京浜東北線西川口駅西口から徒歩3分の好立地にあります。
選手志望やフィットネス目的問わず格闘技を始めてみたい方、既に格闘技をやっているけれど悩まれている方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
ジム名「Ulu」(ハワイ語で「成長する」)の通り、きっと今より成長できるはず!
パーソナルボクシング、キックボクシングジム Ulu
住所:〒332-0021 埼玉県川口市西川口1-20-21 西川口第一共同ビル302
Ulu Instagram:@ulu20241111

佐々木さんInstagram:@junki614k1

Ulu公式LINEはこちらから。

<インタビュー&記事執筆:野上 哲生>
